脳の誤作動で視覚情報が認識されない
以前「メラビアンの法則」のことを書いた中で、目から得た視覚情報を脳が正しく処理出来ないと、見えるはずのものが見えないというのがありましたが、その怪奇現象のようなことが、我が家では頻繁に起きていました。
そして、発達障害が分かるまで、そんなことでも私が責められていたのですから、まったく呆れます。分かったところで、家族だと簡単に離れられないのが難しいところです。
よくものが見つけられない人がいますが、それも脳の誤作動で、視覚情報が正しく認識されないから起きているのではないかと思います。
学校では、よく「あれがない、これがない」という子供たちがいますが、一緒に探すと見つかります。子供だからというのもあるのですが、そう言ってくる子供のほとんどは、普段から特性のようなものが見られる子供たちなのです。よく先生からは、
「ほら、あるじゃない!? どこ見てんの? よく探してから、無いって言いなさい!」
と叱られますが、脳の誤作動で本人の問題ではないとしたら、自己肯定感を下げるだけの間違った声がけをしていることになります。
ただ、これを正すには、周囲だけでなく、当事者は勿論その親たちみんなが、その子の状況に気づき、理解し合わないといけないのだと思います。
冷蔵庫は魔の空間
初めてその現場を目にしたのは、モトオの時ででした。
「ああそれ、冷蔵庫に入ってるよ」
と私が言うと、
「ありませんけど!」
と不機嫌な顔と言い方で、いつものように私を責めてきたのです。
「目の前にあるはず」
私は買い物をして、冷蔵庫のどこに置いたかもしっかり覚えていました。それなのに、
「ありません!」
と更に嫌な感じで、言い張るわけです。
私が、他のことをしていた手を止め、わざわざ冷蔵庫のところへ行って覗いてみると、やっぱり目の前にあるではありませんか。
ど真ん前すぎて、一瞬冗談かと思いましたが、怒っていますから、洒落になりません。
「目の前にあるじゃん!」
それでも、
「どこ!?」
と、目を三角にして怒ってくるので、
「目の前、ここ!」
と、指をさすと、やっと彼にも見えたようでした。彼は、「ああ…」とだけ言って、謝りも話も何もありませんでした。
普段からこうでしたから、『またか!』と、腹を立てたのを覚えています。責められることが習慣化してましたから、私も心がどんどん荒んでいってましたね。
モトオは、自分に都合の悪いことは一切言わない人でした。怒ることで身を守り、そうやって本当の自分を隠していたのでした。
気づきのきっかけは、いつもムスメがくれた
発達障害の謎を解くきっかけは、いつもムスメがくれました。
ムスメもやはり冷蔵庫の中のものが見つからないと大騒ぎするので、側に行って見ると、無いと言っているものを目の前にして「無い」と言っているのです。
心が荒みきっていた私は、
『親子でふざけてんじゃないよ! どういうこと?』
と、思いながら、
「そんなとこまで、パパに似なくていいでしょ? ほら、ここ!」
と、言って指さすと、
「ほんとだ!? え、なんで? 急に? 怖っ!」
と、言うので、よく聞くと、さっきまでなかったのに、私が指差した瞬間、現れたと言うのです。その時は、私もどういうことか分からず、
「え、何それ? 怖っ!」
と、二人でその現象に恐れおののいたのでした。
それから、その怪奇現象は公の事実となり、ムスメもしょっちゅう、
「うわっ、今現れた! 怖っ!」
と、叫んでくれるようになったので、私も知ることができ、大変だなあと思うことが出来るようになったのでした。
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