【支援員日記】ダメと言われたことをすぐやるYくん、ふたたび

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普通の注意は伝わらない《飛びつき抱っこ》

一難去ってまた一難は、発達障害児の支援にはつきものですが。ママと呼ぶのをやめさせられたと思ったYくんでしたが、今度は飛びつき抱っこというのを始めたのでした。全体重をかけてくるので、とても危険でした。

「飛びつき抱っこは、危ないからやってはいけません!」なんて普通に言ったって勿論、通じません。言われたことを3秒後には忘れるYくんですから、担任の先生もお手上げでした。

言うことを聞かない他に、特性のある子の大変さの1つに、次から次へと思いも寄らない事をしでかすというのがありますが、やりたい気持ちを抑えられないというのと、その先を予想するのが苦手なので、普通では考えられないことをやってしまうのでした。

今回も1年生とはいえ、身長120cmを超す大きな子供が、突然ジャンプして抱きついてくるのですから、その破壊力といったらしれません。抱きつかれた方は間違いなく、転倒、殴打、場合によっては骨折など最悪の結果しか考えられないので、早くやめさせたいと思っていました。

言ってる先から事故が起きる

気をつけていた矢先でした。静かに座っていたYくんが、まさかの目の前で突然飛びついてきたのです。

顔面でなくて良かったと思いましたが、あごに頭突きを受け、私は一瞬動けなくなるほど痛かったのですが、後でYくんに痛くなかったかと聞くと「自分は石頭だから痛くない」と、けろっとしていました。よくあることですが、こういう危ない事をする子に限って、とても頑丈にできているのは、なんなんだろうと思ってしまいます。

「あなたは痛くなくても、先生は痛いよ! ジャンプして抱きつくのは、危ないからやめてって、言ってるよね!?」

この時ばかりは、私も怒って強く言いましたが、何度も言ってる時点で、失敗していたのは私だったと後で思いました。

それを証明するかのように、Yくんの顔や態度に反省の色はなく、担任の先生も念を推して注意してくれましたが、Yくんが分かっていないのは明らかで、『絶対またやるな』と思っていました。

先生の言うことを聞かない理由《Yくんの場合》

大好きだという純粋な気持ちから、飛びつき抱っこをしてくるYくんでしたが、よく見ていると、Yくんは強く叱られた時ほど、すぐまたやる傾向がありました。

ADHDの特性が強いと、本人自身もなぜそうしてしまうのか分からないけれど、何度もやるので「わざとやった」とか「嫌がらせでやった」と取られてしまうこともあります。

実際、担任の先生に強く叱られた後の子供に「叱られって思わなかった?」「なんでやっちゃったの?」と共感的に聞くと、「自分でもよく分からない。気がついたら、やってた」などと答える子も多いです。

その上、彼らは自分のことが客観的に分かっていないので、それをうまく伝えることもできない。周りもまさか本人の頭の中がそんな訳の分からない状態とは分からないので、誤解が誤解を生んでいくのです。

Yくんの場合の繰り返しには、何か違うものを感じました。

叱られた後、一旦は言われた通り直すのですが、その直後、叱った相手に白目を向くのです。まるで、あっかんべーをするかのように。

担任の先生は、反省のないその態度を叱るのですが、またそのすぐ後に注意されたことをしてしまう。どんなに叱っても、Yくんが白目をむくのもやめさせることが出来ないので、先生がどんどん苛立っていくのが見て取れました。

見ていると、先生がYくんにかける声かけは全部禁止用語か何度言ったら分かるのという責める言葉ばかりになっていて、言うことを聞かないので、見えないフリをするようにまでなっていました。

こうなると、Yくんからしたら、自分を叱るしかない先生は敵でしかないのです。叱ってくる相手=敵となり、敵の言うことは聞かない状態になっていたのです。

彼は白目をむくという行為で、先生を負かしていました。彼からすると、これは成功体験となってしまい、言うことを聞かなくても抵抗すれば、自分を止められる人はいないと誤学習してしまっていたのです。

やめさせるには【褒める】しかない

Yくんが、人をすぐ敵と見なすのは、相手の気持ちが分からないからです。
ママと呼ぶほど大好きと言われた私もちょっと注意したら、白目を向けられ、あっという間に敵にされてしまいました。

単純というか白黒思考というか。敵か味方しかない考え方が根本にあるのでしょう。なので、話を聞いてもらうには、まず味方だということを言葉にして認識してもらわねばならないのでした。

私がチャンスを待っていると、Yくんがまた飛びつき抱っこをしてきました。

ややこ

「ねえ、危ないって! ちょっと、聞いて。 Yくんは、先生のこと好きだって、前に言ってくれてたよね? 先生もYくんが好きなんだけど、飛びつかれるのは、危ないから嫌なのよ。 だから、やめてって言ってるんだけど、なんでやめてくれないの?

Yくん

「・・・」

ややこ

言うことを聞いてくれないと、先生もYくんのこと、嫌いになっちゃうのよ。 でも、先生は、Yくんを嫌いになりたくないから、やめて欲しいと思ってるんだけど、やめてもらえる?


すると、Yくんが、こくんと頷いたので、すかさず、

ややこ

よかったあ、ありがとう! Yくんなら、聞いてくれると思ってたよー! さすが! 危ないから、もうしないでね。 もう絶対やらないって、約束だからね。 Yくんにそう言ってもらえて先生、嬉しいわー。 ありがとねー!

Yくんは、恥ずかしそうにしていましたが、周りの子たちもこのやりとりを聞いて、ニコニコして、とてもいい雰囲気になったのを感じました。

そして、肝心のYくんも飛びつき抱っこをしなくなったのでした。相変わらず、甘えて抱きついてきたりしますが、約束は守ってくれているのでよしとしています。

この状態をキープするにも工夫が必要なので、ついでにご紹介しておきますが、それは、彼がなにもしていない時に先手で褒めること。

何もしてこない時に「飛びついてこないよね? 偉いじゃん!」、「約束守ってくれてるんだねー、凄い!と言って、先手で褒めるのです。本当にいいのでお勧めします。

人から言われることで、本当は意識していない時も

Yくん

「そうか、自分は言われたことを守っているのか」

と、気づけるので、人からのいい声がけは、自信にも繋がるし、主体的ないい行動も引き出せるので、いいことだらけなのです。

勿論、中には手ごわい子もいて、昨日はうまくいったのに今日はダメというように、何をしてもダメな日もあるので、万能なものはありませんが、いい声がけは、必ずいい方向に向かうと信じて、日々工夫を重ねています。

私は来週から、新学年スタート。どこにいくかは当日まで分かりませんが、どんな子供たちに出会えるか楽しみです。

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