似過ぎる特性
ムスメの特性は、モトオの特性とかなり重なるので、心理士さんが説明するムスメは、まさにモトオのことでもあったのでした。
心理士さん曰く、
ムスメさんはプライドが高く、完璧主義な性格なので、自分が分からないことや出来ないことを人に知られたくないという気持ちが強い。外で必死に普通を装うため、その反動が、家でのイライラに繋がっているのではないか、
ということでした。
隣に座って聞いているモトオは、いったいどんな顔をして聞いているのだろうと、横目で覗くと、ちょっと口角をあげた外向きの顔で、話をする心理士さんの顔を熱心に見つめていました。
めちゃめちゃ話を聞いている風に見えますが、実はこれ、見せかけだけで、本当に話を聞いているわけではないのです。
ASDの人の中には、話をする際、人の目を見て話をすることが苦手な人がいますが、我が家の二人もそうでした。
けれど、モトオは外ではこうすべきというのがあるので、見過ぎじゃない?というくらい人の顔を見て話すのです。この時もまさにそんな顔をしていて、話の内容は入っていないというか、自分に当てはまるとはまったく思っていない顔をしていました。
最後に心理士さんが、
「特性で悪いところが目立ってしまうムスメさんの良いところを見つけて、おうちでは、たくさん褒めてあげて下さい。」
と言って、話は終わりました。
夫婦でこの説明を聞いたのだから、
『これから二人でムスメのいいところを意識して褒めていけば、きっといい方向に向かうはず』
と、期待していたのですが、現実はそう甘くはありませんでした。
なに聞いてたの?
この時、モトオ自身はまだ未診断でしたが、ムスメの検査結果を横で一緒に聞いていたし、他人から「凸凹のある娘のいいところをたくさん褒めてあげて下さい」と言われたのだから、今度こそ育児に協力してくれるものと思っていました。
ところが、私がムスメを褒めていると、わざわざムスメが出来ていないどうでもいいところを指摘し、けなしてきたのです。ムスメの顔が曇った瞬間、私の心の中は怒り心頭で「なにしてくれんだ、この野郎!」でした。
ムスメも検査結果の説明を受けていたので、本人なりに頑張っていたのに、その努力をぶち壊すような夫の言動はまさに裏切り行為。許せませんでした。
彼も同じ特性で大変かもしれないと百歩譲っても、彼はムスメよりずっと成功体験があり、少なくとも外で仕事が出来ているのですから、親として子供を褒めることの何が難しいのか、まったく理解できませんでした。
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