子供よりオレ
ウィスクIVの検査結果を聞きに、家族三人で発達支援センターに行こうとした時のことです。
これもすんなりいかないのが、我が家のパターンでした。
ああ言えばこう言う。口数は少ないのに、口は減らないのでした。
「休みを取って、一緒に来て欲しい」
とモトオに言うと、
「休みを取れって簡単に言うけど、あなたと違って、オレはそう簡単に休めないんですよ。 オレの時給いくらか、分かってる?」
と、またこんなことを言ってきたのです。
それまで、彼の人を見下すような言動には「何言ってるの?」と反論したり、怒ったりしていました。でも返ってくるのは屁理屈ばかりで、結局振り回されていたので、この手の話につきあうのはもううんざりでした。
怒る気にもなれないし、ムスメのことで手一杯だったので、
『いい加減、大人になって、協力しろ!』
というのが本音でした。
日本の男性優位社会にあぐらをかくモトオ
彼は、日本の世間と同様、家事、育児の仕事がどんなに大変かが分かっておらず、その合間にコツコツやっていた私の安価な仕事など仕事とも思っていないのでした。
今回もいつも同様、私たちの子供の話をしているのに、彼は自分のことばかりでした。
彼に何を言っても変わらないのは分かっていますから、言われた内容には触れず、
「ムスメと仕事、どっちが大事なの?」
とだけ言うと、彼は苦虫を噛み潰したような顔をして黙りました。
もちろん、すぐに返事はなく、しばらく経ってから、
「取れるかどうかは分かりませんが、言うだけ言ってみます。
半日ね。」
と言われました。
『娘の大事なことに、休みが貰えるか分かんないって、どういう事? 大手だから、申請したら貰えるよね? 会社がおかしいの?
いや、今まで好きな時に休んでるから、やっぱり娘の為に、休みたくないだけだよね? なんで気持ちよく「了解」って言えないのかなぁ。 とことん八つ当たりして、マウント取りたいんだろうねえ。
後日、半休は希望通り取れたと言われました。
「簡単に休めない」と散々言っていたのは、なんだったのか。
特性がいろいろ絡まって家族に難癖をつけてくるのが、モトオの常だった訳ですが、正直、この相手をまともにやってたら人間おかしくなってしまいます。彼のサンドバッグになるってことですから。
本人は自分が、なぜそんな返事しかできないのか、それによって相手を不快にしていることさえ、気づきません。難癖をつけてる自覚なんてないのですから、対抗したって敵わないのです。
発達障害が関わっている場合、話は、特に注意して、俯瞰して聞くべきなのですが、まだ私は全然分かっていない時でしたから、頑張ればなんとかなるという熱い思いから、気分を害されては怒っていたのでした。
モトオの頭の中
発達障害を勉強し出してから、私は明らかに以前のように振り回されることがなくなっていきましたが、それは彼にとっては面白くないことだったに違いありません。
なんたってオレ様発言をスルーされる訳ですから、面白くないわけです。こういう人は、自分の思い通りにいかないことを嫌い、その原因と思う人に一方的に恨みを募らせたります。
彼からしたら、私が冷静になる状態は異常事態で、私のことも恨んでいたのかも知れません。
それまで彼は、彼が常識と思っていること(私にとっては酷いこと)を私に言うと、私が怒るので、『論理的に話しができず、すぐ怒って感情的になる女』と見下していたのでしょうが、(世間一般にも「男性は論理的で女性は感情的などと言う人いますが)彼が何を言っても私が動じなくなると、どうしたらいいか分からなくなっていったのではないかと思います。
なんにせよ、そんなことを知らない当時の私は、発達障害のことを知って、家族関係をなんとか修復したいと思っていたのでした。
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