子供を褒められない夫
検査結果の説明で、心理士さんから「娘さんをたくさん褒めてあげて下さい」と言われたにも関わらず、わざわざけなしてきたり、文句を言ったりすることをやめない夫に改めて話をしました。
ねえ、さっきみたいなのは困るんだけど。支援センターで言われた通り、実行してくれないと困るんだけど!
私だけじゃなく、あなたもムスメのいいところをみつけて、一緒に褒めてくれないと、自己肯定感に繋がらないのよ。
すると、
いいところがないんだから、しようがないだろ。
と言うのです。
マジで言ってんの、この人!? 何様のつもり?
協力を得られないどころか、邪魔をしてくる夫に失望と怒りが湧いてきました。
ですが、この頃、私は親業にコーチング、発達障害も勉強し、ムスメへの実戦対応でも毎日鍛えられていましたから、「物事を俯瞰してみる自分」というものを意識できるようになってきていました。
なので、この時は気持ちを切り替えて、こう言えたのです。我ながら成長したなぁと思ったほどで、これでうまくいくと思いました。
ムスメにいいところがないんじゃなくて、あなたが見つけようとしてないだけでしょ? 見つける努力をしなきゃ。 さっきもあなたは文句を言ってたけど、ムスメが〇〇に気づいたのはいいとこだし、〇〇したのだっていいとこだよ。
ね? 見つけようと思えば、いくらでもあるのよ。 だから、ちゃんと見て、褒めて。 ムスメも、パパから褒められたら嬉しいんだから。
ところが、返ってきたのは、想像を絶する言葉でした。
被害妄想が凄過ぎる
結局、ムスメの自己肯定感が低いのも、オレが悪いって言いたいわけだ。 あなたは、そうやって、すぐ人のせいにしてくるよね?
えええっ!? 今聞いてた? そんなこと、一言も言ってないよね? 誰もあなたのせいだなんて言ってないし、よくない言動を直してって言ってるだけだよ?
ほらまた! 人のせいにして! あなたに言わせると、全部オレが悪いことになるんじゃん! いつも自分が正しいと思ってるよね?
そんな人といくら話したって無駄だね。
それは、こっちのセリフだよ! なにワケ分かんないこと言ってるの?
この時は、思ってもない返事過ぎて、頭が真っ白になりました。頭の中は『待って! どういうこうと?』という疑問しかありませんでした。
つまり、彼は「人のせいにする」ということが、そもそもどういうことか分かっていないのです。発達障害の人は、言葉の解釈が独特だったり、他者視点がないので、誤って理解していることがよくあります。
そして、何よりモトオは、批判されることに極端に弱く、過剰に反応している自分にまったく気づいていない人でした。これはメタ認知(自分が認知していることを認知している状態のこと)が低いことで起こるのですが、他にも失敗を認める=負け、と捉える白黒思考から絶対に自分の非を認めないなど、いろいろな特性が絡まっているのでした。
ただ一つ解せなかったのは、この呆れるほどの被害妄想。夫だけでなく、娘にも共通するこの過剰が過ぎる被害妄想は、いったいどこからくるのか。なかなか理解できませんでした。
自己愛性パーソナリティ障害が合併!?
もしかして、という理由に辿り着いたのはつい最近でした。
SNSでよく見かける自己愛性パーソナリティ障害。調べてみると、これが我が家の二人によく当てはまるものでした。正式にどうこういう話ではないですが、謎の言動を紐解くには十分役立つのではないかと思います。
発達障害と自己愛性パーソナリティ障害は合併するかもしれないというのも分かる気がしました。発達障害が素地にあると、確かになりやすいかもしれません。
自己愛性パーソナリティ障害とは、自分に対して誇大なイメージを抱き、注目や称賛を求める一方で、他者からのマイナスな評価に対して過敏に傷つきやすく、他者に対する共感性が薄いことを特徴とする障害です。
<参考:狩野力八郎/著『自己愛性パーソナリティ障害のことがよくわかる本』講談社(りたりこ発達ナビ記事内から抜粋)>
ムスメも発達障害と分からない頃は、注意されるとモトオと同じ事を言い、同じ過剰反応を示して逆ギレしていました。そして、それについてどんなに話をしても全く理解できないのには本当に手を焼きました。
この障害の要因には気質的要因と環境的要因があるそうで、その気質はまさに発達障害そのままと言ってもいいくらいです。
自己愛性パーソナリティー障害は(医者が)見つけにくいと書いてありましたが、一緒に暮らしてそれで何度も痛い目に遭わない限り、分かりづらいのは確かだと思います。本人は分からないでしょうから、周囲からのヒアリングからしか、分かる術はないでしょうね。
今でもムスメの被害妄想が過ぎるのには、悩まされていますが、この根本原因は、本当の意味で自分自身を受け入れることができていない状態だと言いますから、本人がこれを乗り越えるのはなかなか難しそうです。
だからといって、過度な被害妄想から他者の気持ちを傷つけたり、攻撃ではないのに攻撃されたと責めて逆ギレしたりするのは、好ましくありませんし、間違っていますから、やめなければいけません。それには、本人の変わりたい気持ちと周りの協力が欠かせません。
フォローは、何度も状況と気持ちを教える
彼女が家で傍若無人に振る舞ってきた場合、その都度その状況を書いて説明したりしていました。責任の所在が誰のどこにあるのか、よく確認しました。大変でしたが、そのうち書かなくても分かるようになってきて、今では、
「あっ! いま人のせいにして、私に怒ってますけど。 私、いま何もしてないよね? 今あなたが、これをしたのが、いけなかったんだよね? 自分に腹を立てるべきなのに、なんで私が怒られてるの? 関係ないのに怒られて、気分悪いんだけど。」
などと、さらっと言って、あとは黙って待つ。これが思ってる以上に時間がかかったり、私はせっかちで口数が多い為、間が空き過ぎると、つい分かっていないと思い更に説明したりしてしまうのですが、頑張って待つことにしています。
すると、時間はかかるものの、気づいて謝ったりしてくれます。
と言っても、実際はこれも出来たり、出来なかったり。過去に、一緒に医者やカウンセリングへ足繁く通ったり、家でムスメに罵倒されながらも会話を重ねたりしたことが、今につながっているこそと思いますが、少しづつの前進です。
だからといって、あまり関わり過ぎるのもお互いストレスになりますから、意識して離れることも忘れないよう気をつけてもいます。
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